ままでも、何をどうすればいいのか分からない
学校の先生に言われた「家でも練習してみてくださいね」。その言葉のあとで、手が止まってしまうことがあります。
また、子どものために何かしてあげたい。そんな思いがある保護者を何人も見てきました。
特別支援学校の教員として、書字(字を書くこと)が苦手な子の学習を、たくさん支えてきました。この記事では、私が学校で大切にしていることを、「家でも使える形」にして5つ紹介します。
書字が苦手な理由や様子は、子どもによって違います。どの子にも、合う方法と合わない方法があります。ここに書くのは、私が使ってきた方法です。お子さんに合うものを、選んでみてください。
- 学校の支援を、家で使える形にした5つのポイント
- 「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、そっと手伝い、ほめてあげる」という具体的な流れ
- 声かけで気をつけていること(1度に1つの指示、低く小さい声など)



学習の支援〜5つのポイント〜
書字に限らず、発達障害を抱える子をはじめ、すべての子への支援で、私が学校で大切にしているのは、次の5つです。
やってみせ、言って聞かせて、させてみて、そっと手伝い、ほめてあげる
これを、書字の支援に当てはめると、次の5つになります。





ポイント1 やってみせる


いきなり書かせずに、まず大人が見せます。「くるっ」「ぴた」など線が変わるポイントを言葉でも示してあげると良いです。見本を示すときには本人と同じ向きから書いてみせます。
- 見本は、できるだけ本人の手元に置きます。手元に置くと、目の動きが少なくて済みます。余計な視覚情報が少なくなり、1画1画の確認が早く正確になります。
- 終点で止められないときは、音に合わせて止める見本を見せます。たとえば「シューっ、ピ」と声に出しながら、線を引いて、最後にぴたっと止めます。子どもの側から声を出すこともあります。一緒に声に出すことで、耳からの情報でも形を確認する姿が見られます。


ポイント2 言って聞かせる


見せたあとに、言葉で伝えます。
- 先に、やることを伝えます。「今日は、3つ書くよ」のように、見通しを持てるようにしておきます。リストは文字だけでなく、イラストや図にすると、さらに分かりやすくなります。見通しを持たせることで、終わりまで頑張れることが増えました。
- 1度に伝える指示は、1つまでにします。1つの文に入れる動作も、1つにします。「鉛筆を持って、ここから書いて、最後は止めてね」ではなく、「鉛筆を持ちます」「ここから書きます」と分けると、伝わりやすくなります。短い言葉で伝えることも大切です。
- 言葉の例:「じゃあやってみよう!」「マスからはみ出さないように」「ゆっくり丁寧にね」「ここから始めるんだよ」
- 注意したいときは、大きな声ではなく、低く小さい声にします。大きな声で注意することは、避けています。
- できたときは、○やグッドのジェスチャーでも伝えます。
- 視覚から覚えるのが苦手なときは、声に出しながら覚える方法があります。たとえば「空」という字は、「ウ」「ハ」「エ」とカタカナに見立てて、声に出して覚えます。





ポイント3 させてみる


次に、本人に書いてもらいます。書きやすい紙面を用意しておきます。
- 大きなます目に、なぞり書きと始点の点がある文字から始めると良いです。段階を踏んでスモールステップで進めます。ぴくっとラボのひらがなプリントには、始点と終点の印や、大きな手本、なぞる欄があります。ぜひ使ってみてください!
- 大きく書いて練習する方法もあります。形の要所には、補助の点をつけて練習するのも効果的です。
- 「しっかり見る」を意識させます。「見てね」と声をかけて、見ているときは「見てるね」と伝えます。見ていることが正しいことだと、本人に伝わります。
- 書いている途中は、できていることを確認していきます。「ゆっくり書こうね」「書けているね」と、できていることを伝えて、定着させていきます。


そして、間違った字を直すのではなく、正しい字を書かせます。間違える前に正しい形に誘導してあげてください。間違いを指摘するより、正しい形を書く経験を重ねるほうが、正しい形を覚え、前向きに取り組みやすくなります。
ひらがなを書くときの6つのステップは、こちらの記事で紹介しています。
漢字のプリントは、1年生は全80字、2年生も公開しています。ポイントに沿って進められるように工夫しました。1度試してみてください。
ポイント4 そっと手伝う


手が動きにくいときは、道具や、大人の手で助けます。先ほども伝えましたが、この場面では間違える前にサポートすることが大切です。
- 指先や手が動かしにくいときは、道具を使います。鉛筆の持ち方を助ける補助具や、ざらざらした下敷きを使うことがあります。補助具については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
- 間違える前に、手を添えます。「字がはみ出してしまう」「文字の形が違う」ときは、自分で書かせる前に、手を添えてサポートして、間違えないようにします。手を添えるときは、「ここまで」と伝えて、はみ出しを防いだり、鉛筆を動かす動き(運筆)を補助したりします。
- 手を支えるときは、見本を見せるときとは逆に、本人の向かい側に立ちます。右利きの子の場合は、大人の左手で支えて、本人の書く字が、大人の手で隠れないようにします。目を見て、線を意識して見ているかも確認します。
- 手を添えるのは、補助にとどめます。すべてを任せてくる場合があるので、子どもが鉛筆を動かすのを補助するだけにします。「鉛筆動かしてね」「自分で書くんだよ」と声をかけるとよいかもしれません。


ポイント5 ほめてあげる


できたらたくさんほめてあげてください。
- できたことだけでなく、しようとしていることもほめてあげてください。
- ほめるときは具体的に。「ここの線がしっかり止まっているね」「丁寧に書いているね」「毎日頑張ってるね」のように、何がよかったかが伝わる言葉にします。
- 「間違えたからダメ!」「なんでできないの?」など、どうしても言いたくなってしまうときもありますよね。ですが「間違えてもいいから、少しずつ覚えようね」と伝えて、失敗してもよい雰囲気を作ってあげてください。間違えることを極端に恐れる子が多い気がします。間違えても挑戦できる!そんな力が育つと嬉しいですね。


私の学校では、「丁寧に書いているね」と伝えていると、「ていねい?」と自分から聞いてくる子がいました。「毎日頑張ってるね」と伝えると、次の学習にも意欲的に取り組む姿が見られた子もいました。



まとめ



やってみせ、言って聞かせて、させてみて、そっと手伝い、ほめてあげる
そして、学校の先生や支援をしてくださる方と、つながってみてね。
学校に聞いてみること
- 指示は、どんな言葉で、どのように出していますか
- 使っている道具は何ですか(補助具、下敷き、ます目や始点のある紙など)
- 手を支えるときは、どのようにしていますか
- ほめるときは、どんな言葉やタイミングですか
家での様子として伝えること
- 書くときに、困っている場面(どの字・どの動きで止まるか)
- うまくいった声かけや、取り組みやすかった方法
- 書くのを嫌がるときの様子









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